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2011年4月 1日 (金)

放射性ヨウ素について(その2)

不安定な構造をした放射性ヨウ素131が、β線を出すことによって別の物質に変化するうちの約99%は、キセノン131(Xe-131)という放射線を出さない(安定した)気体に変化します。

このようにある放射性物質がβ線を放出して別の物質に変化することを「β壊変」とか「β崩壊」と呼びます。

  【原子核の中性子数が陽子数より多い場合(ニュートロン・リッチとか中性子過剰と呼ぶ)、核内の力のバランスが不安定なため、中性子が陽子に変化するとともに電子(βマイナス)線と反中性微子(反ニュートリノ)を放出するのが、β(マイナス)壊変(崩壊)です。この時、原子番号が1つ大きくなります。】

そして、残りの約1%は、先ず放射性のキセノン131m(Xe-131mという物質に変化(ガンマ線を放出)した後、キセノン131に変化します。

  【キセノン131mの「m」はmetastable(準安定)を意味し、キセノン131に比べ、エネルギー的に不安定なため、ガンマ線を放出することにより、放射線を出さないキセノン131に変化します。これを核異性体転移と呼びます。】


上記のように変化して放射能の量が半分になるまでの時間を「半減期」と呼びます。

ヨウ素131の半減期は約8日(8.04日)、キセノン131mの半減期は約12日(11.8日)です。


よく「半減期の8日が過ぎたから、安心だ」と言われていますが、これは間違っています。半減期とはあくまでも放射能が半分になる時間です。例えば、100が8日後に50、16日後に25、24日後に12.5になるということで、元の放射線量(放射能)が高ければ、影響は長い間続くわけです。

一般的には、半減期の10倍程度(元の放射能の2の10乗分の1=およそ千分の1)で、無視できる大きさになると言われています。ヨウ素131の場合は、80日ということになります。


参考文献:
「放射線概論」、通商産業研究社
「絵とき 放射線のやさしい知識」、オーム社 他


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