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2011年5月 1日 (日)

放射線の人体への影響(その1)

[3]人体への影響

[3-1]放射線が人体に何を起こすか

[1-1] 普通の光も放射線である」において、「放射線の電離作用が人体への影響に関係してくる」と書きました。私たちも原子や分子の集まり、その原子や分子が電離することにより様々な影響が出てくるのです。

放射線の人体への影響は、次のように人体の原子、分子レベルから細胞、組織、個体レベルまで全体にわたって現れます。

人体が被曝。
 ↓
人体のDNAを構成する原子が電離・励起される。
 ↓
その電離・励起がDNA損傷を引き起こす。
 ↓
損傷したDNAの大部分は短時間の内に修復される。
 ↓
損傷したDNAの内、修復されなかったり、修復エラーとなったものは、

 1.損傷が致命的である場合は、細胞死を起こす。
   ↓
  臓器・組織に相当数の細胞死があると、その臓器・組織に機能障害等が発生する。

 2.損傷が致命的でない場合は、突然変異が起こった細胞として、細胞分裂が繰り返される。
   ↓
  長い潜伏期間を経てがんが発生する恐れがある。
  生殖細胞で突然変異が起こると、遺伝的影響が発生する恐れがある。

【原子に起きた電離・励起が直接DNA損傷を引き起こすものを「直接作用」と呼び、水分子を電離・励起した後、損傷を引き起こすものを「間接作用」と呼びます。】


参考文献:
「放射線概論」、通商産業研究社
「新・放射線の人体への影響」(改訂版)、日本保健物理学会・日本アイソトープ協会編


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